日本乳幼児教育学会 第30回大会

大会企画シンポジウム2

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テーマ
外国にルーツをもつ子どもに対する支援のいま
シンポジスト
松本 一子 (愛知淑徳大学(非)他)
中川 郷子 (カエルプロジェクト〔Projeto Kaeru〕代表:ブラジル)
園山 大祐 (大阪大学)
コーディネータ
二井 紀美子 (愛知教育大学)

 在留外国人人口は、2019 年末の時点で過去最多の293万人を記録した。愛知県は、東京に次いで全国第二位の外国人総人口を有し、義務教育諸学校に在籍する日本語指導が必要な外国人児童生徒数も全国最多となっている。この第30 回大会は愛知県で実施予定であったことから、外国にルーツをもつ子どもへの支援を取り上げる。大会は残念ながらコロナ禍でリモート開催となったが、その利点を大いに生かすべく、海外や遠方のシンポジストにも参加を依頼した。外国にルーツを持つ子どもたちにどのような支援が必要とされ、具体的にどのように実施されているのかなどいろいろな角度から考えていきたい。

 まず、愛知県で、乳幼児(やその保護者)を対象とした支援について、松本一子氏から報告していただく。松本氏は、プレスクール事業や多文化子育てサロン、多文化子育てサークルの推進や、各種マニュアルの作成など、愛知県の就学前の子どもや保護者に関する多文化共生事業の多くに関わった経験を有するだけでなく、文部科学省の「学校における外国人児童生徒等に対する教育支援に関する有識者会議」の委員などを歴任し、愛知のみならず日本全国の外国人の子どもたちの教育実践・施策に明るい。そこで今回、松本氏から、外国にルーツをもつ子どもへの支援の実際、特に愛知の多文化保育施策についての情報を提供していただく。

次に、外国にルーツをもつ子どもたちの中でもブラジル人の子どもたちに注目し、彼らへの支援について、ブラジルから中川郷子氏に報告していただく。ブラジルで臨床心理士として活躍する中川氏は、日本からブラジルに帰国した日系ブラジル人の子どもが、急激な環境の変化やポルトガル語の能力不足、日本での学習の遅れから、心理面の悩みを抱えてブラジルで不登校・不就学になるケースが90 年代に増えたことから、90 年代後半からサンパウロで市政府の協力を得て彼らに対する心理相談、社会順応支援、教育指導、就学支援活動を始めた。この支援活動は2009 年からはブラジル三井物産基金の支援を受けて「カエルプロジェクト」として続いている。氏は、現在もこのサンパウロでの活動を率いると同時に、2009 年以降カエルセミナーとして毎年日本の全国各地の学校やNPO、行政機関などで相談会や講演会を行っている。また近年では日本の研究者と共同で日本のブラジル人児童生徒の障害診断に関わる調査研究を行っている。今回は中川氏からブラジルでの支援についての情報提供と、特別支援教育とのかかわりで日本にいるブラジル人児童に関する知見を披露していただく。

 最後に、日本の今後を考える上での参考とするために、大阪大学の園山大祐氏にフランスの移民の子どもの状況に関して情報提供をしていただく。

 外国にルーツを持つ子どもたちに対する支援や研究の最先端で活躍するシンポジスト3 名の報告を、今後の支援のあり方や研究の論点を考える一助としていきたい。