日本乳幼児教育学会 第30回大会

学会企画シンポジウム2

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テーマ
個と集団が育ち合う学級指導の支援
―インクルーシブな学級を実現する専門家の協働―
シンポジスト
酒井 幸子 (武蔵野短期大学・同附属保育園)
篠原 直子 (練馬区立北大泉幼稚園副園長)
七木田 敦 (広島大学)
指定討論者
戸田 有一 (大阪教育大学)
コーディネータ
岩立 京子 (東京家政大学)
神長 美津子(国学院大学)

 近年、増加傾向にある特別な配慮を必要とする幼児への個別支援は、非常勤教諭を増やす、多様な合理的配慮を行う、専門家に巡回相談を依頼するなど、支援体制を整えようとする傾向にある。しかし、その一方で、一つの学級に複数の特別な配慮を必要とする幼児と複数の非常勤支援者、ボランティア等、多様な者が入り、多様な動きをしたり、多様な関係性を築く学級全体をどのように運営していくかに難しさを感じる担任保育者も少なくない。このような課題に対して、個と集団を生かし合う保育実践と、それを生み出す園内・園外の専門家の連携・協働のアプローチのあり方について、具体例に基づいて議論することがこのシンポジウムの目的である。

 幼児一人一人を理解し、心の動きに応じることは、一人一人の幼児の活動を援助することや、幼児と一対一で関わるようにすることのみを意味しない。幼児の主体的な活動は、友達との関わりを通してより充実し、豊なものとなる(文科省、2018、幼稚園教育要領解説)。保育における個別支援の「個別」の意味は、集団から取り出され、別個に行う支援ではなく、むしろ多様な個が集団の中で生かされ、集団を生かす「個々への特別な支援」であり、その支援は、常に個と集団のダイナミクスの中で産み出される。

 今回の学会企画シンポジウムでは、保育における近年の特別支援における問題点や課題の傾向はどのようなものか、集団の中で個のよさが生かされるように、幼児同士が関わり合うことのできる環境や援助はどういうものか、また、それはどのように可能になるのか、そこに園内の保育臨床アプローチをコーディネートするような教諭や外部の専門家がどのように連携しながら関われるのかについてご発表いただく。個と集団、個別支援計画と学級経営、全体的な園運営計画との関係にも触れながら、インクルーシブ保育の実現に向けての専門家の協働のあり方について議論する。